転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
「場違いな場所にのこのこ参加して、本当に支援してくれと訴える人がいたらどうするの?」

「結婚という名の支援ならば大歓迎だと、言えばいい。興味を持った者を、連れてこい」

簡単に言うが、現状の私に魅力を感じる人など皆無だろう。爵位があるといっても、結婚によって相手が手にできるわけではない。私と結婚しても、配偶者はリリエンタール子爵家に名を連ねるという名誉が手に入るだけだ。

「とにかく、行ってこい。将来本当に魔法薬師になりたいのならば、勉強にもなるだろう」

しぶしぶ頷く。もう、どうにでもなれという気持ちで、参加するすることとなった。

これで話は終わりだろう。そう思って部屋から出て行こうとしたが、話は終わっていないと引き留められる。

「まだ、何か話があるの?」

父はいつになく強ばった顔で、問いかけてくる。

「魔法学校の生徒の行方不明事件について、噂を聞いたことがあるか?」

「え、何それ。初めて聞いたんだけれど」

父も先日顔を出した、紳士が集まる社交場で小耳に挟んだらしい。

「学校に馴染めない平民出身の生徒が、忽然と姿を消す事件が起きているようだ」

「そんなの、知らない」

何名か退学している生徒もいる上に、退学した生徒は孤児であることが多いため所在は不明だという。そのため、確認する術がないようだ。

「本当だとしたら、物騒な事件だ。身辺には、気を付けておくように」

「わかった」

父は単なる噂話なので、信憑性は薄いという。しかし、普段から気を付けておくのに越したことはないだろう。
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