転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
「いや、なんというか、ワガママ言って“魔法薬学科”に入ったから、断れるような雰囲気ではないというか、なんというか」

「わかった」

何をわかったと言うのか。首を傾げていたら、ローデンヴァルト先生はとんでもない対策を考えてくれた。

「俺が一緒に行けば、変な奴も近寄ってこないだろう」

「え!?」

ローデンヴァルト先生がいたら、それは心強い。けれど、こういう催しに一緒に参加すると、いろいろ勘違いされてしまう。

「あの、ローデンヴァルト先生は、大丈夫なの?」

「何が大丈夫なんだ?」

「いや、貴族社会では、社交場に同伴した男女は、密な関係にあると思われてしまうのですが」
「は? 嘘だろう?」

「いや、本当」

ローデンヴァルト先生は今までにないくらい眉間に皺を寄せ、腕組みして考えるような仕草を見せていた。

「そんなに危ない集まりなの?」

「というか、魔法薬師に就く奴は、たいてい危ない奴だ」

「うわ……」

奇人変人の巣窟に、見ず知らずの付添人と乗り込もうとしていたようだ。あまりにも、無謀だろう。前世があるとはいえ、今世の私は百戦錬磨ではない。
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