転生したら、モブでした（涙）～死亡フラグを回避するため、薬師になります～

「もしかして君は、魔法学校の生徒なのですか？」

「そうだけれど……」

「教師が、生徒に手を出したと？　魔法学校の秩序は、どうなっているのでしょうか？」

その前に、私とローデンヴァルト先生はそういう関係ではない。否定しようとしたのに、向こうがぽんぽん矢継ぎ早に話しかけてくる。

「もしや、あなたは今日参加すると噂になっていた、リリエンタール子爵家のひとり娘グレーテ嬢ではありませんか？」

なぜ、噂になっているのか。思わず頭を抱え込んでしまう。否定しなかったのを、肯定だと捉えたのだろう。

「爵位継承予定となる女性は、結婚相手探しが困難だと聞きます。ああ、だから、平民であるローデンヴァルト薬師を選んだのですね」

「いや、そうではなく――」

「私にしておいたほうが、いいでしょう。ローデンヴァルト薬師は、貴族社会について何も知らない男で、私は貴族です。まあ、三男で、継承できる財など持ちませんが。代わりに、大人しく夫の座に納まってみせましょう。さあ、こんなところにいないで、向こうで私達の将来について詳しい話をしましょう」

「ちょっと待っ――！」