転生したら、モブでした（涙）～死亡フラグを回避するため、薬師になります～

「わたくしも、ほとほと呆れましたわ。今まで無茶や無謀な行動をしても、王太子としての責任と覚悟はあるお方だと思っていたので」

その点は、フロレンツィアにとって引っかかる部分だったらしい。

「そういえば、少し、様子がおかしかったように思います」

「他に、好きな女性ができたとか？」

「いいえ。その点は問いただしましたが、想い人はいらっしゃらないかと」

嘘をつくときは、決まって目を合わせないらしい。今回は、はっきりフロレンツィアを見ながら「好きな人ができたわけではない」と答えたのだとか。

「少し、焦点が定まっていなくて、普段の覇気もなかったような気がいたしました。なぜ、突然あのような発言をなさったのか……。長く付き合っているわたくしでも、初めて見ました。その、なんと言っていいのかわかりませんが、まったくもって理解不能ですわ」