転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
「けれど、現代に、闇魔法使いは存在する」

「禁固刑から逃れた人達が、いたのかもしれないですね」

「絶対に、赦せませんわ!」

ちなみに、後日確認したところ、ヴォルフガング殿下は闇魔法にかかっているようだった。以前の快活な様子は鳴りを潜め、周囲に当たり散らす傲慢な人と化していた。薄暗い場所で、ブツブツと独り言を呟いているときもあるらしい。明らかに、精神干渉を受けている。

そんなヴォルフガング殿下だが、闇魔法使いと接触するためにそのまま泳がせている。ローデンヴァルト先生が監視魔法を敷いているので、いつか引っかかるはずだ。

私達は直接調査せず、ローデンヴァルト先生に任せている。

本を読み終えたあとは、喫茶店でお茶を楽しむことに決めた。

「わたくしの行きつけの喫茶店にいきましょう。個室で、ゆっくりできますの」

「あの、私みたいな平民が、行ってもいいのでしょうか?」

「ニコラ、何をおっしゃっていますの。わたくし達は、お友達でしょう? 生まれや身分なんて、関係ありませんわ」

「フロレンツィアさん……!」

ニコラは胸に両手を当て、感極まった様子でいる。敵対する主人公であったニコラと、悪役令嬢であったフロレンツィアがこんなに仲良くなるなんて想定外だ。

「ぼーっとしていますけれど、グレーテ、あなたも大切なお友達ですからね」

「あ、ありがとう」

差し出されたフロレンツィアの手を、ぎゅっと握る。彼女の温もりに触れていると、心がジンとなった。
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