転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
フロレンツィア行きつけの喫茶店は、図書館から徒歩三分くらいの距離にあるらしい。目と鼻の先だ。

そのまま手を繋いで喫茶店を目指す。フロレンツィア行きつけのお店は、ミントグリーンの壁がオシャレな、貴族御用達の喫茶店のようだ。

店内から客が出てきたので、道を譲る。

「おや?」

立派な白髭をたくわえた客は、見知った顔である。

「まあ、学園長先生ではありませんか」

「あ、ああ。こんなところで会うなんて、驚きだね。それにしても、驚いた」

学園長の視線は、フロレンツィアがカゴに入れて持つカーバンクルにあった。

「君の使い魔は、カーバンクルなんだね」

「ええ。偶然、召喚いたしましたの」

「そうか。いやはや、知らなかったものだから」

「登録書は提出しておりましたが」

「ああ、そうだね。忙しくしていたから、確認をおろそかにしていたようだ」

学園長ともなれば、生徒の使い魔を一匹一匹把握しているのか。
< 193 / 245 >

この作品をシェア

pagetop