転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
ここで学園長と別れ、喫茶店の個室へ移動する。

「驚きましたわね。こんなところで、学園長と会えるなんて」

「……」

「グレーテ、どうかしましたの?」

「あ、うん」

ここは“魔法学校のエーデルシュタイン”と同一の世界である。ゲームと同じ景色にキャラクター、そして魔法学校が存在していた。

この国に、“エーデルシュタイン”という単語は存在しない。ゲーム内でも、意味について語られることはなかった。

「ねえ、フロレンツィア。さっき、学園長がルビーに、すばらしい“エーデルシュタイン”だと言っていたけれど……?」

「ええ、このルビーちゃんの額にある魔石は、“エーデルシュタイン”そのものですわ!」

「“エーデルシュタイン”の意味を、知っているの!?」

「ええ。古代語で、“たぐいまれなる秘宝石”、という意味ですけれど」

古代語――魔法を使う際に使用されていた言語のひとつである。現代ではほとんど廃れているが、フロレンツィアの実家にはいくつかの古代語が口伝として残っていたらしい。

「“エーデルシュタイン”も、その中のひとつですわ」

「“エーデルシュタイン”、たぐいまれなる秘宝石……」

秘宝石というのは、大量の魔力を含んだ宝石を呼ぶらしい。その昔は、秘宝石の生産が行われていたようだが、現代では技術が失われているようだ。

世界には天然の秘宝石もあるようで、それには国家予算一年分ほどの価値が付くこともあるらしい。
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