転生したら、モブでした（涙）～死亡フラグを回避するため、薬師になります～

「その話が、どうかしたのか？」

この違和感を説明するためには、私の前世について説明しないといけない。しかし、前世でプレイしたゲームの世界に転生するなど、突拍子もない話だ。上手く説明できる自信がない。

脳内ひとり会議でどうするか話し合った結果――“魔法学校のエーデルシュタイン”であった内容を、夢で見たという流れにして説明することにした。

「ローデンヴァルト先生、私、“魔法薬学科”に入る前に、夢を、見たの。信じられないような話だけれど」

「いいから話してみろ」

何十回とプレイした“魔法学校のエーデルシュタイン”のストーリーを、一から語って聞かせる。

ニコラに似た平民出身の娘が、竜の使い魔を伴って“魔法騎士科”に入学するところから始まる。

王太子ヴォルフガングと思いがけない出会いを果たし、ささやかな交流を重ねていく。平和な日々だったが、王太子ヴォルフガングの婚約者である、フロレンツィアに似た公爵令嬢と敵対視してしまうのだ。

最終的にふたりの少女は決闘を行い、炎魔法を暴走させてしまう。魔法は校舎に直撃し、炎上してしまった。

跡形なく崩れさった校舎には、多くの生徒がいた。死者三百名以上を出した壮絶な大事件である。

原因となった公爵令嬢は処刑され、王太子ヴォルフガングは平民出身の娘と結婚して終わる。

「この夢の終わりに、ある言葉が聞こえたの。“魔法学校のエーデルシュタイン”と」

これで、学園長が“エーデルシュタイン”と口にしたことについてのモヤモヤを、理解していただけただろう。