転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
始業式が始まるので、講堂に行かなければ。そう思っていたおりに、背後から声をかけられる。

「グレーテ様!!」

鈴の鳴るような可愛らしい声で私を引き留めたのは、あろうことかニコラであった。

振り返ってしまった自分の愚かさを、呪いたくなる。

「よかった。誰も知り合いがいなくて、不安で」

「そう」

「これから、始業式なんですよね?」

「ええ。講堂でね」

「そうなんですね。あの、よろしかったら、一緒に行ってもよろしいでしょうか?」

絶妙に首を傾げ、ニコラは私に願う。断れる人なんて、いるわけがないだろう。わずかに頷くと、ニコラは嬉しそうに感謝の言葉を口にした。
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