転生したら、モブでした（涙）～死亡フラグを回避するため、薬師になります～

なんとか落ち着かせ、“魔法騎士科”の列まで送ってあげる。そのあと、私は誰もいない“魔法薬学科”が並ぶ位置に立った。

一瞬、ピリッとした視線を受けた。周囲を見渡したが、私を見つめている人はいない。ニコラと一緒にいたので、酷く緊張し自意識過剰になっていたのだろう。落ち着け、落ち着けと、自分に言い聞かせる。

それから五分と経たずに、始業式が始まった。

立派な白髭を蓄えた学園長が、にっこり微笑みながら全生徒の前に立つ。

白髭に白髪頭だが、年齢は五十代くらいか。

彼はもともと慈善団体の長だったようだが、二年前から推薦で学園長になったらしい。穏やかな雰囲気を振りまいているように見えて、実はやり手だと父が話していた。