転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
ただ、残念な点は、前世の記憶を思い出し、落胆している私がいるというもの。

今の私は、グレーテ・フォン・リリエンタールだ。主人公ニコラや、悪役令嬢フロレンツィアではない。

ごくごく普通の、貴族の娘として育った十七年の記憶と経験がある。

思い出した前世は、どこか他人事のように思えてならないのだ。

同時に、ゾッとした。もしも、記憶が甦ったのと同時に、前世ののほほんとした私の人格が勝っていたらどうなっていたのかと。

今まで十七年生きてきた私は、あっさり消えてなくなっただろう。

よかったと安堵したが、最後に思い出した記憶が甦る。

それは、悪役令嬢フロレンツィアが魔法を暴走させ、魔法学校の校舎を爆発させてしまった事件だ。それは、“魔法学校のエーデルシュタイン”のクライマックスである。
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