転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
ヒポグリフォンはどんどん上昇し、校舎を見下ろす位置まで飛んでいく。ビュウビュウと風が吹く上空を、ものともせずに優雅に飛んでいた。

高所恐怖症というわけではないが、剥き出しの身で空を舞うのは恐怖だ。ジェットコースターのように、シートベルトがあるわけでもない。

「ひ、ひえええ……」

「情けない声をあげるな」

「で、でも、先生、私、跨がっていないので」

馬に横乗りするのと、ヒポグリフォンに横乗りするのはまったく状況が異なるのだと、ひしひし痛感してしまった。スカートなんて気にしないで、跨がればよかったと後悔する。

「まったく、仕方がない」

アルノルト・ローデンヴァルトはそうぼやき、私の腰に手を回してくれる。不安定だった私の体は、しっかり固定された。

「先生、ありがとう、ございます」

震える声で、丁寧な感謝の言葉を口にした。
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