転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
一限目は、魔法薬の歴史を聞くだけで終わってしまった。

二限目は、魔法薬を作る実技を行うようだ。

魔法薬を作る教室は、地下にある。工房(アトリエ)と呼ばれているらしい。

何でも、失敗して大爆発を起こしても、外に影響がでないような強力な結界が張られているらしい。

長机が三つ並べられ、丸い椅子がぽつぽつと等間隔で置かれている。壁に沿うように置かれた棚には、ビーカーや試験管などの、実験道具が収められていた。前世の理科室に似ているが、異なる点は教壇の隣に大きな魔法釜がある点だろう。あれで、魔法薬を煮込むようだ。

「ではまず、基本的な魔法薬“ポーション”作りから始める」

ポーションは疲労回復薬である。その昔、冒険者は必ずといっていいほど常備していたらしい。今は、冒険に出るといったら、回復師を同行させるだけのようだが。

「ポーションの材料は、ヒール薬草、ポム・ビネガー、ジンジャー草、飴蜂蜜、精製水」

まず、ヒール薬草とジンジャー草を乳鉢で擂って水分だけ取り、それをポム・ビネガーと水を混ぜたものに加える。砕いた飴蜂蜜を混ぜ、魔法で素材の効果を活性化させるのだ。

混ぜた材料を魔法釜に注ぎ入れる。緑色で、不味そうな匂いが漂っていた。
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