転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
さっそく、焼き畑作戦を開始する。ローデンヴァルト先生が私に鋭い視線を向ける中で、火魔法を発動させた。

「──巻きあがれ、|火よ(フォティア)!」

畑の中心に魔法陣が浮かび上がり、一面に火が広がった。生じた火はゴウゴウと力強い音を鳴らすものの、火の勢いは弱い。

「これは、驚くほど威力がない火魔法だな」

メイドに羨ましいと言われたことがあった。私の持つ魔法の威力は、家事に向いているらしい。通常は、台所の火を熾そうとしても、火の勢いが強すぎて使い物にならないようだ。

ローデンヴァルト先生は火加減を見ておくようにと言い、いなくなる。五分後、戻ってきた。ジャガイモが入ったカゴを抱えている。

「もしかして、焼きイモを作るの?」

「よくわかったな」

やり方は実にシンプルだった。鍋にジャガイモを入れて、オリーブオイルを垂らして塩、コショウでしっかり味付けをする。しっかり蓋をし、燃える土を掘り返して中に埋めていた。

ジャガイモが焼けるまでの間、畑の前で野外授業となった。基本的な、解熱鎮静剤の作り方を教えてもらう。
< 71 / 245 >

この作品をシェア

pagetop