世界中が敵になっても私を好きでいてくれますか
私は今詩織と夕飯を食べている

「…だからさ今喧嘩中ってわけよ」

詩織には4年付き合っている彼氏がいる

その人は地方の高校に入学しているが、幼なじみの1人だった

水を1口飲んで晴は答えた

「でもさ、喧嘩するほど仲がいいって言うし大丈夫じゃない?」

詩織はそう?と言いながら机に顔を伏せた

「なんかさ、時々不安になるわけ。遠距離だからあっちは何してるか、どう思ってるかもわかんないから…」

マイナス思考なとこ久々見るな

詩織は比較的ポジティブなため、愚痴は話しても、不安事はあまり言わないタイプだった

「私は詩織と涼太くんを近くでずっと見てきた…そんなことで別れるようなカップルじゃないって私が1番よく分かってるから」

「はるぅ〜!!好き!」

詩音が晴を思いっきり抱きしめた

「苦しいって!私も好きだから離して…!」


あれから何時間話していただろう

私達は家までの夜道を歩いていた

「じゃお互い気をつけて帰ろうね」

「うん。いつかさ、彼氏私に紹介してよね」

「だから、もぉ…」

言えるはずがない

私の彼氏はあの霧山蓮だなんて…

駅まで2人は別れた

歩いていると電話の音がなった

プルルルルル…

蓮からだ

「はーいどうしたの?」

(あぁいや、声聞きたいなって思って、最近会えてなかったから)

「わざわざありがとうね」

(ってまさかまた夜中に外にいるの?大丈夫か?危ないし迎え行くよ)

「あ、バレた? ううん、ちゃんと帰れるから大丈夫だよ!」

(ほんとかよ。あ、今度オフになりそうなんだ。そしたらまた遊ぼうな)

「やった!」

(じゃあまた)

「うん!ばいばい」

ふぁぁあああ

確かにちょっと盛り上がりすぎたかな

前には2つの分かれ道

片方は遠いけど明るい道で、もう一方は近道だが暗くあまり家が無い道だ

早く家帰りたいし、暗いけどこっちから行こうかな

この辺は晴のマンションの近くで道をよく知っていたため、不安は何も無かった

少し歩いていると、車から2人組の男の人が歩いてきた

「ねぇお姉ちゃん大丈夫? 1人?」

大学生ぐらいで大きくガタイのいい男たち

え、嘘でしょ…!

早く帰りたいのに…!

あの時面倒くさがった自分を殴りたくなった

「あの大丈夫ですので気にしないでください」

コンビニ勤務で変な男たちに絡まれることはよくあったため、晴はそれほど怖がってはいなかった

「こんなとこ歩いてたら変な人に誘拐されちゃうよ?」

ムカつく…

変な人はあんた達でしょ

「だから大丈夫ですって!!」

晴の腕を掴んだその男を勢いよく突き飛ばした

するとその男は、みるからに機嫌が悪くなり、晴の肩を掴んだ

「は?調子乗んなよこいつ…まぁとりあえず車乗せろ…」

「ちょっとやめてください!離して!」

車のドアが開くと中には2人の男の人が乗っていた

晴は腕や肩を掴まれそのまま車に乗せられた

どうしよう…

女の私の力じゃどうにもならない…!
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