世界中が敵になっても私を好きでいてくれますか
それから数十分後、暗い工場の跡地に降ろされた

「また連れてきたのかよ!さっすが」

5、6人の男達がお酒を飲みながら笑っている

腕を後ろで捕まれ身動きが取れない

「ここ…工場?」

「昔、薬の器具を作ってたとこ。今は俺らの商売場所だけどな」

商売場所?

「何を売ってるんですか…?」

すると男がポケットから白い粉が入った袋を出した

それって…

「覚せい剤。薬なしじゃ生きられない体にして、骨になるまで金吸い上げるってわけ」

骨になるまで…

その言葉を聞いて鳥肌がたった

「無理やり打つなんて…」

「お前もいずれそうなるよ」

晴の顔に手を当て、まるで品物を見るかのように晴のことを見た

男は注射器を手に持ってニヤッと笑った

うそ…いや

誰か…助けて

「誰かぁ!たす…」

後ろにいた男が晴の口を塞ぐ

「ま、誰も助けになんて来ないよ」

「大丈夫だよ。すぐ楽になるから」

「んん!ん…!!!」

「うるせぇなこいつ…。」

その男は晴のお腹に拳をいれた

その瞬間崩れ落ちた晴

痛くて呼吸するのも苦しい

すると龍の顔が脳裏に浮かび自然と名前を呼んでいた

「蓮助けて!!!!」

「だから黙れっつってんだろ!」

男の拳が晴の頬にあたる寸前

「やめろ!!!」

入口の方から誰かの声が響いた

そこにはフードを被って、マスクをした男の人が立っていた

顔が見えなくたってわかる

れ…ん…

「ずっと携帯通話したまんまだったよ。ごめん。場所見つけるのに手こずった」

「こいつっ!」

「よくも俺の大事な彼女をこんな目に合わせてくれたな。許さねぇ」

蓮は流れるように男達を倒していく

出会った時みたいに

外からはパトカーの音が聞こえていた

きっと蓮が先に呼んで置いたのだろう

「よし、帰ろっか」

蓮は晴をおんぶし、走ってその場を去った
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