世界中が敵になっても私を好きでいてくれますか
晴がお風呂から出ると、龍は足を組んで椅子に座りながら携帯をいじっていた

「あ、おかえり!湯加減どうでしたか?」

「ちょうどよかったよ!なんか執事みたい」

「なんだよそれ。じゃ、ご飯食べよっか!」

テーブルを見ると

男が作ったとは思えない、どれもオシャレで高級そうなものばかりだった

「美味しそう…」

口をぽかーんと開けたままの晴を見て龍は言った

「さぁ召し上がれ!」

口に入れた瞬間、旨みが一気に広がった

美味しい!

龍は得意げにまーなと返した

料理できるって意外だなぁ

勝手に龍は料理は苦手なんだと思ってた

「龍ってオフの日何してるの?」

「昼まで寝てるか、事務所の先輩とか後輩と飯行くか、家でごろごろするかだな」

「龍毎日忙しいもんねぇ」

晴が嫌味っぽく言うと、龍が腕をつかんできた

「ごめんってば」

「別に何も言ってないよ?」

わざとっぽく言い捨てると、龍はいじけたように縮こまった

「言わなくても目で言ってんじゃん〜。ごめんなさい。ごめんね?晴」

こういう龍はレアだからもっと見ていたくなる

でもあんまり冷たくしすぎると話さなくなっちゃうので、ほどほどでやめるのが鉄則

「はぁもう…仕方ないから許してあげる」

ご飯を食べながらテレビを見ると、龍が出演しているドラマの再放送が流れていた

それは以前真希さんと共演していたドラマだ

龍は気まずそうに晴の顔を伺うが

「このドラマ懐かしいね!」

と笑顔でこたえた

正直気にしてないわけじゃない

今でも真希さんを見ると少し胸が痛い

でもわかってるから

龍が信じてって言ってくれたから

こんなんで気にしてたらキリがないんだよね

「まじで恥ずかしいんだけど」

チャンネルを変えようとしている龍からリモコンを奪った

「ちょおい!」

だってこういう仕事してる龍を見るのって楽しいんだもん

いつものギャップっていうか

なんか頑張ってる龍見ると私まで嬉しくなる

にこにこ笑っている晴の頬を龍が両手でひっぱった

「ひひゃい…」

「なんて言ってるかわかりませーん」
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