世界中が敵になっても私を好きでいてくれますか
龍は電話を切ってベッドに入りながら

「さっきはごめん」

と言った

2人は背を向けて横になり、気まずい空気がながれた

先に口を開いた晴

「あのね私…龍に出会えて本当に良かったなって思う」

優しい声で龍に話しかけた

「俺もだよ。でも晴、最初俺がアイドルだってまったく気づかなかったよな」

龍は天井を向きながらあの日を思い出すように笑った

「だって普通有名人が、あんな雨の日に道端に座ってるなんて思わないでしょ!」

龍は確かにそうだなと返した

そうだ

もしあの日私があの道を通っていなくて

龍に話しかけなかったら

私は今何をしていたんだろう

普通に大学に通って

詩織と帰りがけに遊んだりして

同じような毎日が過ぎていって

でもそれが普通で…

「私さ、最初に龍を見た時に寂しい人なんだなって思ったんだよね。1人で頑張ってる人なんだなって…。助けてっていってるように見えたの。だからこの人のために何かしてあげたいって思った」

「俺はそんな晴に惚れたんだ。真っ直ぐなところに…」

晴は龍の方を向いた

「今でもね。夢なんじゃないかって思う時があるの」

いつかなくなっちゃうんじゃないかって時々不安になるの

少し表情が暗くなった晴に向かってこう言った

「俺と晴があそこで出会うことは必然だったんだよ」

偶然じゃなく必然

最初から私達が出会うことは決まってた

だからこれから先、もっと沢山の困難に立ち向かうことになるということもきっと決まっているんだろう

「だからさ…みんなに認めてもらえるようになったら俺のお嫁さんになってくれる?」

「え?」

晴は思考停止したかのように首をかしげた

すると龍は呆れたように頭をかきながら言った

「一応プロポーズなんだけど…」

プ、プロポーズ!?

でも答えは決まってる

「うん!龍のお嫁さんにしてくださいっ」

晴は照れながらにこっと笑った
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