人生を1億円で売りました。
冬の朝の毛布のような人
神様って本当にいるんじゃないだろうか。
恭吾「君の人生を
1億円で買わせて頂きたい。」
と言ってきたのは、私の働く
高級クラブ シャンティーの常連。
笹倉 恭吾。外科医。
毎日、何人ものお客様を相手にするから
ほとんどの人の事は大して
印象に残らないけれど
この人の事だけは印象に残っていた。
この場で頑なにお酒を拒み
烏龍茶しか飲まない。
なのに、何故だか足繁く
このお店に通う彼は私にとって
とても印象深い人だった。
そんな彼が、今、私に向かって
驚く程に愉快そうな笑顔を
浮かべそう告げた。
< 1 / 175 >