人生を1億円で売りました。

結悠「こんなにも広い部屋に住めて
フカフカのベッドがあって。
封筒に入った十数万円のお金を
ポンと渡してくれて。
好きな物買っていいよって
クレジットカードまで渡してくれる
お医者さんと、どう頑張ったって
私は結婚出来ないです。
その時、きっと思うんですよ。
あの時、逃げなければ良かったって。」

ああ、何かこれじゃ
お金の為に一緒にいる事を決めたみたいだ。

いや、そうなんだけど。
そうじゃなくて...

結悠「私は、借金地獄から救ってくれた
笹倉さんを悲しませたくないです。
嬉しかったんです。昨日。
お酒が苦手だと言ったら笹倉さんは
ココアを作ってくれました。
ああ、温かい人だ。この人となら
暮らしていけるかもしれないって
思ったんです。だから...迷惑じゃないなら
私をここに置いて下さい。」
< 23 / 175 >

この作品をシェア

pagetop