人生を1億円で売りました。

抱き締めてくれた笹倉さんの
温もりに安心するなんて。
…本当に最悪だ。

結悠「…離して…ください…」

お金を払って貰った上に
迷惑までかけて…その温もりに
安心するだなんて
本当に…烏滸がましい。

恭吾「離しませんよ。
…震えてるじゃないですか。」

結悠「今日は少し肌寒いので。」

恭吾「では、その震えが治まるまで
こうさせて下さい。…僕には権利が
ありますよね?事実上とはいえ
夫婦なのですから。」

この人は…本当に、ズルい。
そんな事を言われれば…私が
拒否出来ない事を知っている。

なのに、ズルいと思うのに…
泣きたくなった。

その優しさに…泣きたくなった。
< 41 / 175 >

この作品をシェア

pagetop