人生を1億円で売りました。
だけど、仕事を辞めてしまった
今の私には到底払える訳はなかった。
ご丁寧に売却先まで紹介してくれた。
首を縦に振るしかない状況なのに私は…
あんな忌々しい家、すぐにでも
手放せばいいのに…
その場で返事は出来なかった。
いい思い出も。悪い思い出も。
全部全部、詰まった家。
幸せだと思い込んでいた偽物の家族。
殴られ蹴られフローリングの床に
何度も倒れこんだ最悪な家。
あんな家、手放す方がいい。
第一、私には
維持出来るほどの財力がない。
今、売ればそれなりに
お金を得られて笹倉さんに
少しでも返せる。だから…
絶対に…必要ないはず…なのに…