ドラゴン・ノスタルジア
「探したんだぞ、さくら」

 凌太もりっちゃんの後ろから、駆け寄って来た。

「二人共、どうしてここに?」

 私が聞くと、二人は呆れたように目を見合わせた。

「『ノスタルジア』に行ったらさくらが出かけたって聞いて、神社を探しに来たんだよ!」

 クラスで一番小柄女子で、ショートボブの髪がよく似合うりっちゃんは、いきなりがばっと私を抱きしめた。

「やっと会えたあ!!」

「り、りっちゃん…?」

 黒いジャージの腕をまくり上げ、凌太は突然私の頭をチョップした。

「なにラブシーンやってんだ!こっちは心配して探してたってのに」

「大地だ!夏祭りでもないのに、どうしてここににいるの?!」

「祭りじゃなきゃ、いて悪いのか?…てか、さくらに触んなリョータ」

 大地は凌太の帽子の先をつまみ、イライラした様子で睨みつけた。

「うわ!なんかめっちゃ睨まれてる、俺」

 大地の迫力に怯えて体を離す凌太を見て、りっちゃんと私は笑った。

「どうして会いに来てくれたの?二人で」

 私が聞くと、りっちゃんが私の両手を取って話し出した。

「変な誤解させてたかな、と思って。私達、内緒でさくらの誕生日をみんなで祝おうと思って、計画してたんだよ」

「……え?」

 誕生日?

「明後日だろ?結月もその次の日イギリス行っちゃうし。みんなで集まって、一緒に驚かせてやろうと思ってたんだよ」

 
< 14 / 60 >

この作品をシェア

pagetop