ドラゴン・ノスタルジア
「相当怒っていましたね、久遠様」
梅ばあちゃんは少し落ち着きを取り戻し、私を見て笑った。
「社務所へ来てください、さくら。あなたにもきちんと説明しなければ…」
大地と私は梅の後に続き、社務所の中へと案内された。靴を脱ぎ、一番奥の和室に入ってちゃぶ台を囲むと、梅が煎茶と煎餅を出してくれた。
「私も人間ではありません。あちらの世界から来た、鳳凰です」
…梅ちゃんまで?
「でも、梅ちゃんはいつも神社にいる、私の遠縁のおばあちゃんだって、お父さんとお母さんが…」
梅はお茶をすすりながら、首を横に振った。
「それは嘘です。私は久遠様の命令で、あなたのお目つけ役として、大地の結婚相手のあなたをずっと、この世界で見守ってきました」
私が大地を見ると、彼は小さく頷いた。
「梅は俺の監視役もしてたんだ。年に一度の夏祭りの時だけな」
「大地は今回、許可も取らず急にこちらに現れて、久遠様を怒らせました。もう…とても私の手には負えません」
大地は突然、何かを思いついた様子で梅に尋ねた。
「この神社の桜の木は、花を咲かせないというのは本当か?」
「はい。ここ数年ずっとです。いきなりどうして…?」
大地は微笑み、目を輝かせた。
「…桜がいい」
「…?」
一体何を思いついたんだろう?
彼はいきなり私の手を取った。
「来て!さくら」
梅ばあちゃんは少し落ち着きを取り戻し、私を見て笑った。
「社務所へ来てください、さくら。あなたにもきちんと説明しなければ…」
大地と私は梅の後に続き、社務所の中へと案内された。靴を脱ぎ、一番奥の和室に入ってちゃぶ台を囲むと、梅が煎茶と煎餅を出してくれた。
「私も人間ではありません。あちらの世界から来た、鳳凰です」
…梅ちゃんまで?
「でも、梅ちゃんはいつも神社にいる、私の遠縁のおばあちゃんだって、お父さんとお母さんが…」
梅はお茶をすすりながら、首を横に振った。
「それは嘘です。私は久遠様の命令で、あなたのお目つけ役として、大地の結婚相手のあなたをずっと、この世界で見守ってきました」
私が大地を見ると、彼は小さく頷いた。
「梅は俺の監視役もしてたんだ。年に一度の夏祭りの時だけな」
「大地は今回、許可も取らず急にこちらに現れて、久遠様を怒らせました。もう…とても私の手には負えません」
大地は突然、何かを思いついた様子で梅に尋ねた。
「この神社の桜の木は、花を咲かせないというのは本当か?」
「はい。ここ数年ずっとです。いきなりどうして…?」
大地は微笑み、目を輝かせた。
「…桜がいい」
「…?」
一体何を思いついたんだろう?
彼はいきなり私の手を取った。
「来て!さくら」