ドラゴン・ノスタルジア
 父は私に語り出した。

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 18年前。

 さくらは1歳になる直前の年末に大病を患い、命を落としそうになった。

 医者は全て休業中。

 運が悪い事に緊急病院も全てやっておらず、急激な体調の悪化でさくらは亡くなる寸前だった。

 途方に暮れた我々が神社に立ち寄り、拝殿で最後の神頼みをしたその時。


 久遠様と奥様、奥様の腕の中にいる大地の3人が突然、目の前に現れた。


「どうしたのです」


 久遠様が、我々に声をかけた。


「神様…?」

 光り輝く彼らを見て、すぐに我々は
 人間ではない存在だと悟った。

 奥様の腕の中には、ピンク色の髪をした赤ん坊の大地が、すやすやと眠っていた。

「助けてください!…娘が死にそうなんです…!」

 桃が叫ぶと奥様は心配そうに、さくらの顔を覗き込んだ。

「まあ、可哀想に…!」

 すると大地が目を開き、さくらを見た。

 瀕死の状態だったさくらも目を開け、大地を見た。

「…この子!」

 奥様は大地を見て驚き、息を飲んだ。

 大地の目は、薄い緑色に輝いた。

「この色…はじめてよ!」

 奥様と目を見合わせた久遠様は、こう仰った。

「このお嬢さんの命を、救いましょう」

「…ありがとうございます!」

「そのかわり、約束してください。このお嬢さんを、必ずこの私の息子と結婚させる事を」

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