ドラゴン・ノスタルジア
「レニ、セイラン。いつもより城が明るいな?」

 大地が聞くと、青い目の少年セイランは、笑顔でこう言った。

「先生へ、みんなからのお祝いの光です」

「…先生!」

 2つに分けた髪を揺らした少女レニは、赤い目に涙を浮かべながら、大地に頭を下げた。

「ご結婚…おめでとうございます」


「ありがとう。二人も、卒業おめでとう」


 …卒業するんだ、この子達。


「先生の授業を、もっと受けていたかったです」

「先生…すごく寂しいです。本当に、人間になっちゃうんですか?」

「うん、本当。…彼女が、俺の奥さん」

「さくらです。はじめまして」

 二人は私をじっと見つめ、挨拶を返してくれた。

「はじめまして。さくらさん」

「はじめまして」

 レニは私と目が合うと、少しだけ笑顔を見せてくれた。

 大地は本当に先生をしていて、子供たちにすごく慕われているみたい。

「この人達が俺の、大事な友達」

 みんなは笑顔でそれぞれ二人と握手し、軽く自己紹介をした。

 そこへ。

 黄金の光に輝く鳳凰が飛んで来て、踊り場に着くとみるみるうちに、梅の姿へと変身した。

「…わっ?!」

「…鳥が、神社のばあさんに変身した!!」

 人間の姿に戻った梅は、凌太の声を無視して大地に向かって叫んだ。


「大地!」


「どうした?梅」


「大変です!カシャ様が…ここに来ます」



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