ドラゴン・ノスタルジア
 学校の友達に会えなくなった現状を、私は大地に話し始めた。

「ガッコウね。いいな、俺も行ってみたかった」

 気がかりな事が、いくつかある。

「ガッコウってさ、たくさん人が集まるの?…だから病気が伝染しちゃうのか」

 りっちゃんと凌太の様子がおかしかった事。
 あれは絶対、私に何かを隠していた。

「ああ、リツとリョータね、覚えてるよ。祭りの時にここで昔、みんなでかくれんぼした事、あっただろ。あの二人は隠れるの、うまかったな」

 紺野君に貸りていた本を、
 返しに行けないでいる事。

 …紺野君、連絡先知らないし!

「コンノ?…祭りの時も遊ばないで本ばっか読んでたヤツか!今もまだ、小枝みたいにほっそいの?」

 いちばん会って話したかった結月からはまだ、メールの返事が帰って来ない。

「何で?ユヅは一番仲いい友達だったろ?喧嘩でもしたのか?」

 結月はあと3日で、イギリスに行ってしまう。お父さんの仕事の都合で、家族全員で。

 私はそれを、一昨日いきなり本人から聞かされた。まだ学校がこんな形で終わるとは知らなかった時だ。

「私、ショックで結月に『どうして早く教えてくれなかったの?!』って怒っちゃって…。気まずくなっちゃったまま、会えなくなったの」


「色々ごちゃごちゃしてんだな、お前」


 大地は泣いている私の頭を、ぽんぽんと優しく撫でてくれた。



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