ドラゴン・ノスタルジア
 『大地の祝福』


 大地は微笑み、私を愛おしそうにじっと見つめた。


「…………?」


 何が起こるか分からないまま、私は大地を見つめ返した。



「…この瞬間…」



 大地は私に、そっと近づいた。



「…俺は、どっちなんだろうな…」




 彼は私に顔を近づけ、
 唇に優しく、キスをした。





 ……!






 『人間の愛情表現』、教えろって言ってたのに。







「これくらい知ってる」






 彼は悪戯っぽく笑い、みんなに向かってこう言った。






「さくらと、ここにいるみんなに誓う」




 しんとした静けさの中、
 彼は目を瞑り、両腕を天高く掲げた。





 ゆっくり目を開け、彼は言った。





「大好きだから。俺が、絶対守ってみせる」



 天空から霧雨の様にきらきらと輝く小さな光が、音を立てずに彼の周りにだけ一斉に纏いついた。



 大地は、天高く伸ばした両手を大きく開いた。


 きらきら輝く美しい光は、神殿の中に広がってゆく。


 歓声が上がる。


 桜の花びらに変わった光は一斉に舞い上がり、神殿中をピンク色に染め上げた。



「……綺麗…!」


 花びらは違う花の形へ。

 
 また別の新しい花の形へと
 変化し続ける。




「俺からの、祝福」




 彼は私に微笑みかけた。





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