ドラゴン・ノスタルジア
 大地は急降下したが間に合わず、シキミの姿を完全に見失った。


「どこだ…………シキミ!」


 梅の声が、遠くから聞こえる。


「……世界を繋ぐ、空間が…!」


 久遠様の叫び声が前方から聞こえる。

「大地!こっちへ来い!!早くしないと人間の世界へ戻れなくなる!」


 既にみんなは空間の向こう側へ行ってしまった様だ。


 空間は裂けて歪み、どす黒い火花に似た闇があちこちからバチバチと、嫌な音を立てながら大地を襲った。

「……うっ!」

 闇は鋭くて大きな炎の破片となり、大地の翼を燃やしながら裂いている。

「大地!!!大丈夫?!」

 神殿の庭があった場所に近づこうとしていた大地は、もう一度大きな闇の火花に両翼を焼かれ、大きな悲鳴を上げた。



「……うわあああっ!!」



「大地!!」



 闇の火花は徐々に大きくなり、それは黒蛇カシャの姿に変身した。




「…………私の娘はどこ?」





「…カシャ…」





 大地は、痛みによって朦朧とした様子で目を開けた。





「シキミはどこへ消えたのです!!あの子が…………あの子がいなくなってしまった…………!!!」





 黒蛇カシャは、うろたえていた。





「お前が城を粉々にしたからだろ…あの子が落ちていったのは多分、人間の世界だ」





 大地は答えた。





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