ドラゴン・ノスタルジア
「大地!」


 …………眩しい!


 いきなり声が響き渡り、世界がぱっと明るくなった。



 それまで小さな大地と一緒にいた場所は一瞬で消え去り、私は岩時神社の桜の木の前にいた。


「やっと見つけた…!探したんだ」


 人間の姿をした久遠様は、小さな大地を強く抱きしめた。


「…………?」


 大地は不思議そうな顔をしながら、抱きしめられたままになっている。

 その後ろには、同じく人間の姿をした弥生さんと梅が、涙を浮かべながら大地を見つめている。


「良かった…!みんな無事だったんですね…!」


 私はほっとして、みんなに話しかけた。

「…………君は…誰だ…?」


 久遠様は、不審そうな顔をして私を見つめた。


「…さくらです」


 あれ?


 久遠様と弥生さんには、私がわからないみたい。状況が今一つ、理解できないといった表情を浮かべている。


 梅が私に、微笑みかけた。


「鳳凰の私には、何となくわかります。あなたは大人になった、さくらですね」


 私は頷いた。


「さくら…?大地の結婚相手の?」


「…未来のさくらさんなのね」


「…はい」


 ここは、過去の世界だったんだ。




「大地は今まで、さらわれていたんだ」





 久遠様は、大地をぎゅっと抱きしめた。





「人間を良く思わない神々の、嫌がらせによって」



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