俺様天然男子
サラダとスープ、照り焼きチキン。



「「いただきます」」



男ふたりで食べ始めた夕食。



父さんとふたりとか、久しぶりだな。



「マイク買った?」

「買ってない。なんか、バイト代がもったいなくて」

「あははっ、何のためにバイトしたんだっけー」



だって、なんかもったいなくて…。



それに『頑張った成果』が目で見えることが嬉しくて、減らすことに躊躇してしまうんだ。



「学校はどう?」

「あっ、なんかね、イジメられてる」

「えっ…」

「大丈夫。相手にしてないし、俺だけに絡むわけじゃないし」

「それ、学校に言った方がいい?」

「言わなくていいよ。別に、どうでもいいから。でも、ヘッドホン壊されてキレた」

「どんなヤツなの、相手」

「化粧が濃くて、下品で、歩くクズ」

「女っ⁉︎」

「うん。だからね、余計そのままにしてる。構うとひどくなりそうだし」

「本当に辛かったら、絶対隠さないように」



うん、わかってる。



< 103 / 640 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop