俺様天然男子
学食から戻れば、机に顔を伏せている雛森と、同じ状態の紗雪。



両方、バイト疲れで瀕死なんだね。



起こすのは可哀想だから、そのままそっとしといた。



放課後、帰る準備をしている雛森に話しかけた。



「今日もバイト?」

「ううん、今日はないから、このまま帰って寝るよ」

「ならよかったね」

「うん、理音くんはバイト?」

「そうだよ。でね、デートのことなんだけど…考えるのやめることにするね」

「えっ…」



あっ、絶望的な顔だ。



可愛い…。



「別に行きたいとこ決めなくてもいいかなって」

「どういうこと…?」

「その日の雰囲気で、ってこと?」

「そっか、わかった‼︎」



笑顔に戻った雛森は、ホッとした様子だった。



暖かい物を感じる。



そういうとこ、いいよね。



素直に表情が作れるところ。



「可愛いなぁ…」

「へっ⁉︎」

「あっ、じゃあ、また明日ね」

「う、うん…また明日…」



声に出ちゃったじゃん‼︎



今のはちょっと焦った…。



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