俺様天然男子
【由乃】



いつか自分にも好きな人ができて、付き合って、手を繋いで。



そんな日が、自然とくるのだと思っていた。



いざ、好きな人ができると、『自然と』なんてあり得ないのだという現実を知る。



誰にも打ち明けられない、あたしの気持ち…。



「由乃、カラオケ行くっしょ?」

「行く行く、今日学生割引の日だよねー」



派手なグループにいて、みんなに適当に合わせて生きている。



周りは彼氏ができたとか、エッチしたとか。



そんな話で盛り上がるのだけれど…あたしはただ、相槌を打つだけで、話を聞いてるふりをする。



彼氏?



エッチ?



そんなの、あたしには無縁なんですよ。



「数学の西田、マジ死ね」

「わかる、ホントウザい」



うんうん、と頷けばいい。



宿題をやらなくて怒られたのは、自分たちが悪くない?なんて、口に出したら…あたしは明日からひとりになるだろう。




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