俺様天然男子
【由乃】



夏休み前の土曜日。



駅前での待ち合わせ。



えっ、うそ…。



「理音くんっ⁉︎」

「おはよう、雛森」

「どどどど、どうしたのっ⁉︎」

「遊びに行くって妹に言ったら…こうなっちゃった」



かかかかっ、髪がっ‼︎



センター分けで、いつもは鬱陶しいだけのウェーブのかかった黒髪は、ちゃんとセットされている。



めっちゃくちゃ今時っ‼︎



妹さん、絶対魔法使い‼︎



「変…?」

「と、とんでもないっ‼︎ごちそうさまです…」

「あはっ、なにそれ」




まさかこんな急に理音くんの素顔が拝めるとは思わなかったから…ドキドキヤバイ…。



すごいなぁ、カッコいい…。



やっぱり、どっからどう見ても美人さん。



泣きぼくろとか、反則すぎ。



本当は女の子?



男でこの美しさだと、さすがに女として自信なくすよ…。



「雛森、可愛いね。私服、初めて見た」

「あっ、お、おかしくないっかな⁉︎」

「うん、可愛い」



『可愛い』を連発するな。



腰が抜けたらどうしてくれるの。



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