俺様天然男子
だから言わない。



ひとりになるのは怖いから。



みんながそうなんだと思っていたのに。




2年になってすぐ、彼の存在を知った。




同じクラスの天道 理音くん。



群れない、喋らない、単独行動、基本ひとり。



身長が高くて、パーマなのか天パなのかわからない緩くウェーブがかった髪が目元を隠す。



いつも下を向き、本を読んでいるので顔がわからないくらい。



部活は『読研』という、オタクの集まり部に所属していて、あたし達の間では『キモい存在』なのだけれど。



あたしは知っている。



風が強く、窓が開いていた日のこと。



彼が窓を閉めようとしたその時、あたしは彼の素顔を見た。



『イケメン』なんて生温い言葉ではない。



風に吹かれてフワッと舞った髪に隠されていた真実は『怖いほどにキレイななにか』だった。



窓を閉めてすぐにバサバサっと、髪を元に戻してしまって、一瞬の出来事で終わったけれど。



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