俺様天然男子
あたしの頭には、彼のとてつもない美貌がしっかりと焼き付いたのだ。



そこから気になり出した彼のこと。



休み時間はヘッドホンで何かを聴いているのか、ただ耳を塞いでいるのか。



とにかく『寄るな』というオーラが出まくっている。



授業態度は真面目というか、喋りもしないし、手もあげない。



目立たない。



体育では、きっと手を抜いている。



髪が崩れないように必死なのが、観察しているとよくわかるのだから。



そして、キレイな長い指でキレイな字を書いて。



通りすがりに盗み見た本は英語で書かれた小説のようだった。



読研にいるマンガオタクとは違うようで、本当に読書が好きなのだろうと結論づけたけれど。



このクラスになって1ヶ月、まだ彼の声を聞いたことがない。



そんな彼のことが気になって、気になって。



気になりすぎて。



気がつけば好きになっていた。



< 13 / 640 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop