俺様天然男子
そんなことには全く気づかない理音くんが、手を差し出してきた。



「デートでしょ?」



そう言って可愛い顔なんかしちゃうから‼︎



天然女殺しめっ‼︎



心の中で盛大に文句を言ってから手を握る。



ニコッと笑うその顔。



「あれって…」

「ウソでしょ⁉︎」



ほらっ‼︎



いろんな人に正体バレてるよっ‼︎



嬉しそうにする理音くんには何も言えずに…あたしも幸せを感じてしまってどうでもよくなった。



「何食べる?」

「雛森ってあんまり食べない人?」

「人並みかな?ラーメン普通サイズでお腹いっぱい」

「俺も」

「知ってるよ。ピザとかは?」

「いいね。あっ、バイト先の近くにピザ屋さんあったよ」

「そこにしよう」



理音くんと初めて話したコンビニの近くにあるピザ屋。



ふたりで中に入って、食べたいピザを頼んだ。



「食べたらどうする?」

「理音くんはどっか行きたいとこある?」

「CD見に行っていい?」

「いいよ‼︎」



デートするために、必死に行きたい所に頭を悩ませていた頃がウソのようだ。



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