俺様天然男子
父さんのベースは、タカと違う。



しっくり来ないな。



ブワッて、なんない。



歌っても、達成感が感じられなくて。



「父さんじゃダメみたい」

「うわぁ、ひどーい…」

「あっ、そう言えば、芸能事務所からスカウト来たよ」

「ウソ⁉︎どこ⁉︎」



パソコンで、父さんに確認してもらった内容。



かなり美味しい条件だと言っていたけど。



「断るね」

「なんで?ひとりはイヤ?」

「今はこっちのが楽しい」

「そっか。もったいないけどね。ここ、音楽も結構力入れてくれるとこなんだけど。理音は理音の思うようにすればいいよ」



そうするよ。



さすが、理解のある父さんだ。



「ちょっと待ってよ…。それって…俺らに気ぃ使ってんの?」

「違うけど?俺、バンド楽しいから」

「後悔しねぇの?」

「うん。今しかできないかもしれないでしょ?行けるとこまで行きたい。みんなで」

「理音ぉぉぉぉぉぉ‼︎」



半泣きの嵐生に抱きつかれたけど…やっぱり雛森に抱きつかれたい…。



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