俺様天然男子
それがお母さんの彼氏。



イケメンだ…。



スーツの似合う、30代半ばの『できる男』って感じの人だ。



「はじめまして、工藤です。噂以上に可愛くてビックリだよ、由乃ちゃん」

「と、とんでもないっ‼︎いつも母がお世話になってます…」

「緊張しなくていいよ。座って話そう」



笑顔が爽やかで、お母さんが好きになるの、わかる気がする。





『いい男』って感じ。



そんな工藤さんは、気さくな人だった。



35歳で、結婚歴はないそうで。



仕事の付き合いで行ったお母さんのお店で、お母さんに一目惚れしたらしい。



「すっごい通って口説いてるのに、全くいい返事くれなくてね。やっと付き合えたのに『娘がいちばん大事だから』って、デートすらしてくれないんだよ」

「それはダメだと思うよ、お母さん」

「そうでしょ?由乃ちゃんも連れて来てって言っても、絶対会わせようとしてくれなくてさぁ…。1年だよ?長いよねぇ…」



お母さんが恥ずかしそうに工藤さんの腕を叩いた。



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