俺様天然男子
根暗で友達のいない『天道 理音』のイメージを、一瞬で変えてしまった理音くん。



始業式前のホームルームで、挨拶の前に担任の先生ですら『お前は誰だ…?』と言ったくらい。



体育館に移動すれば、教室ほど騒がれはしないけど、噂は広まっているようだった。



それに、一緒にいるのが山口くん。



注目されないわけもなく、ふたりで話してる姿を何人かの女子に盗撮されていた。



あたしの理音くんなのに。



撮るなら、山口くんだけにしてよね。



落ち着かなかった始業式が終わり、帰る時間。



理音くんの机に寄って来た女子を、『じゃあ…』と言ってスルーし、あたし目掛けて笑顔でやって来た。



怖い怖いっ‼︎



女子の視線、本当に痛いっ‼︎



「い、いいの…?」

「いいよ。俺、しゃべるキャラじゃないでしょ?」

「そっか。そうだね」



理音くんは、理音くんのままだった。



中身は、理音くんだもんね。



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