俺様天然男子
スタッフ用の飲み物の買い出しはもっぱら俺の仕事。



いちばんデカいから、ちいばん力があって当たり前だという、なんの根拠もない修平さんの言葉で俺になったんだけど。



そんなことも、嫌ではない。



みんなのために何かをすることは、気持ちがいいことなのだと知ったから。



『ありがとー、理音』と、笑ってくれる。



俺はここが好きだ。



週に4日のバイトだけど、もっと増やしてもいい。



土日に朝から働くことも、待ちわびている俺がいるんだ。



読書研究部に顔を出すことが減ったのだけど、誰にも何も言われないし、元々帰宅部のような部活だから問題ない。



学校の休み時間くらいしか、読まなくなった本。



「リトってさ、何聴いてんの?いつもコレ持ってるよね、お高いヘッドホン」

「いろいろ聴いてます。ロックとかも好きだし、最近はラップも聴くし。ネットでいろいろ聴いて、ハマればなんでも聴きます」

「へぇ、で?楽器も弾けんだよね?」

「なんでですか?」

「あんたがうちのスタッフの中でいちばん楽器に詳しいから」



まぁ、小さい頃からやってたし。



< 22 / 640 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop