俺様天然男子
じいちゃんは、音楽事務所をやっている。



曲を作り、新人を発掘し、世に売り出し、ヒットさせる。



今も解散せずに、活動こそしないけれど、レジェンド的存在のじいちゃんたち。



「えっ、あの…エージェント…の、響さんですか…?」

「あぁ」

「若っ‼︎理音のじいじ⁉︎えっ、親って言っても通じるんですけど…」

「じいじはやめてくれるか?」

「なら、響さん…?スゲー…本物やべぇカッコいい…」



じいちゃん、苦笑いです。



とにかく一曲やってみろと言われ、文化祭でやる曲をやった。



どうして父と祖父の前で、こんなに歌ってるんだろう…と、妙に頭が冷めてきたけどね。



でも、みんなめちゃくちゃ真剣だから。



「嵐生っ‼︎楽しいねっ‼︎」



そう言えば、フッと笑って肩の力を抜いた。



俺の今の楽しいこと。



雛森と、バンド、それとバイト。



こんなに充実した高校生活を送れるとは思ってなかった。



俺ね、今…すっごく幸せだよ。



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