俺様天然男子
違うよ。



人前で喋れないだけだよ。



何かしらのMCを入れなきゃいけなくて。



『俺、ムリ』と言ったら、嵐生が『俺がやる』と言ってくれた。



楽しかった。



初めてあんなに大勢の前で歌った。



すごく、興奮した。



これは今、俺が盛り上げてるんだって。



この声は、俺を見て、俺の歌を聞いて、俺に向けて出しているんだって。



そう思うと、知らなかった感情が湧き上がった。



見られることが苦手だったのに、それが快感にすら感じた。



あの感覚を、また味わいたいと思う。




でも、疲れたんだよね。



だから、雛森で癒されなきゃ。



「なんで…撫でられてるの…?」

「雛森が可愛いからだよ」

「可愛くないってばぁ…」

「人前では我慢するから…ふたりの時は許してよ…」

「本当に…?みんなの前で言わない…?」

「気をつける…」

「仕方ないなぁ…」



俺の首に腕を回して、雛森もギュッと抱きついてきた。



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