俺様天然男子
泉にその気がないことは、兄の俺から見てもわかる。



連絡先の交換すらしてないみたいだし。



嵐生も本気ではなかったってこと?



よく、わからない。



俺は雛森しか好きになったことがないし、恋愛に疎いんだと、最近自覚してる。



部屋に入って、嵐生の布団を敷いて。



「で、何を悩んでんの?」

「紗雪って、マジで俺のこと好きなんだと思う…?」

「紗雪はなんて言ってたの?」

「気づいたんだって。あのステージ発表で」

「そうなら、そうなんじゃない?紗雪って、ウソつかなそうだし。嵐生はどうなの?」

「紗雪のことは前から美人だなーって思ってたよ。彼女になったら、俺、鼻高いなーって。その程度…」

「でも、付き合ったんだ」

「俺って最低…?まぁ、紗雪にもそのことは言ったけど。心が痛ぇっつーか…」



嵐生の悩みは罪悪感の塊だった。



でも、それは違うと思うんだよね。



「これから好きになれば?」

「えっ?」

「別にいいじゃん。紗雪も嵐生の気持ち知ってるんでしょ?嵐生がこれから意識すればいいよ。紗雪、俺も好きだよ。友達としてね」



なんでそんな意表をつかれたみたいな顔してんの、嵐生…。



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