俺様天然男子
隣接する隣の建物には祖父と祖母、曽祖父、曾祖母が住んでいて。



祖父も有名な歌手で、曽祖父も元歌手。



有名なモデルや俳優が多く、要するに芸能一家というやつ。



どんなわけか、俺は昔から目立つことが好きではなくて。



根暗でぼっち。



それが俺の生き方だ。



「ご飯だよー」



母さんに呼ばれてリビングに行けば、父のバンドメンバーが酒盛り中。



騒がしいな…。



料理が得意な母さんがたくさん作った夕食。



「よぉ、理音。久しぶりー」

「久しぶり…」

「なんだ、その頭。モッサ」

「いいんだよ…」

「お前、詩に似て美形なのにもったいねぇな」



だからだよ。



騒がれたくないんだ。



昔みたいなのは、ヤダから…。



「歌わんの?」

「歌ってるよ…」

「世に出してねぇだろ」

「出してる。ネット配信してる。顔がバレないように」

「堂々としろよ、もったいねぇ」



そんなこと言われても、人前で歌うことなんか、目立つことが嫌いな俺にできるわけがない。



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