俺様天然男子
音楽の授業は合唱だった。



こんな時、理音くんはあまり大きな声では歌わない。



可もなく不可もなくの、楽譜通りを歌う。



「山口くん、ピアノは弾けるかしら」

「ギターしか弾けねぇっス」

「誰かピアノできる人いない?先生、昨日包丁で指を切っちゃって…」

「理音は?弾けんじゃね?」



えっ、理音くん、ピアノ弾けるの?



ギターが弾けることは知ってるけど、さすがにピアノは…。



スッと立ち上がった理音くん。



先生に近づいて。



「譜面は?」

「えっ、あぁ、これ」

「…………いいよ。初見だから間違ったらごめん」

「いいのよっ‼︎お願いするわ‼︎」



なんでもできる男…。



底が見えない…。



理音くんが弾いたピアノは、普通にうまくて。



授業が終わって、先生が感謝していて。



「もっと弾ける?」

「弾けるよ。アメリカの有名なヤツね」

「うん‼︎」



おねだりした。




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