俺様天然男子
人もまばらな音楽室。



理音くんがピアノを弾きながら、流暢な英語で歌う、世界的に有名な歌。



「すっげ…」



残ってる子、みんな急に始まったミニコンサートに唖然としてて。



先生までポカーンとして。



教室に戻ろうとしていた人たちが、帰れなくなっている。



演奏が終わると、一瞬静まり返った音楽室。



「ご清聴、ありがとうございました」



笑いながら理音くんがそう言えば、歓声と拍手の嵐。



いちばん感動していた先生が、興奮気味に理音くんを褒めちぎっていた。



この人があたしを好きだなんて、本当に変な気分。



あたしと理音くんじゃ、持ってるものが違いすぎる。



「歌、超うめぇ‼︎」

「ピアノ習ってたの⁉︎」



あらら、囲まれちゃった。



そうなんだよね、きっと。



理音くんは、人を惹きつける力を持っている。



あたし、理音くんが本気で歌う人になりたいって言うなら…全力で応援するからね。



< 336 / 640 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop