俺様天然男子
それからはたっぷり楽しんだ。



写真も撮りまくって、何もなかった俺に高校での思い出ができたよ。



この感情をどうにかしたくて、初めて歌詞を書いた。



スマホで作る歌詞。



夜に部屋にこもって、ひたすら書き続けた。



おかげで帰りの飛行機とバスは爆睡。



ここまで俺を導いてくれた由乃への感謝や、俺を無理やりバンドに引き入れた嵐生への感謝。



小っ恥ずかしい歌詞を、嵐生に見せた。



「やばっ、めっちゃ青春っぽい…。でも、わりぃ、英語、訳して?」

「バカ」

「だって意味わかんねぇし…」



家に帰って、修学旅行の疲れなんかどうでもよくて。



お土産を渡した後、作曲に没頭した。



初めて作ったバラード。



まだまだ未完成だけど、早く聴かせたくてデモを作って、俺が歌ったものを明け方みんなに送った。



『いいよ、理音』

『感動した』

『早く弾かせろ』



ねぇ、俺…こんなに恵まれてていいの?



「くっ…」



涙出てきた。



俺、みんなと一緒に大きくなりたいよ。



誰にもバレないように、こっそり泣いた。



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