俺様天然男子
なんでも許しちゃうね。



甘いのかな、あたし。



その日、理音くんとは手を繋いで眠った。



有言実行の男は、新年度の4月、入学式でもやらかす。



「在校生による、校歌斉唱」



1年生とその親が、後ろにいる私たちの方を向く。



その前に出て来たのは、マイクを持った理音くん。



ペコリとお辞儀をしたかと思えば、マイクを一瞬だけ口元に持って来て、それをすぐ下ろした。



空気をたくさん吸い込む理音くんが、マイクもなく、伴奏もなく。



ただ、体育館に響き渡る声で、校歌を独唱。



ざわつく体育館で、理音くんはマイクを通さずに大きな声で歌った。



その後にピアノが流れて、歌い出す私たち。



理音くんはまた頭を下げて、列に戻った。



校歌がカッコいいと思ったのは、たぶんみんな初めて。



校歌が終わった時に聞いた歓声で、あたしはまた確信する。



『あぁ、この人、またモテる…』と…。



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