俺様天然男子

俺になんて言ってもらいたいの…？



「由乃ちゃんに変なことしないでね？俺、お父さんだから、言う権利あるよね？」

「あっ、そういうことですか…」



どうやら『お父さん』を満喫したいらしい。



本当にいい人だね、工藤さんって。



「じゃあ、高校出たら由乃と同棲する許可をください、お父さん」

「えっ？本気で…？住む場所は…？だって理音くん、大学行くんじゃないの？」

「あー、俺、事務所入りました。これから売れる予定でいるんで、安定した給料もらえるように頑張りまーす」

「事務所って…」

「えっと…AQUA MUSICです」

「大手じゃない？」

「そうかも」

「あっ、もしかしてお祖父さんの？」




なんかよくわからないけど、俺の話をした。



これからの俺次第だと言った工藤さんは、なにがなんでも『お父さん』をやり切りたいようだった。



「工藤さん、いいの？時間…」

「えっ⁉︎ダメだった‼︎じゃあ、今日は遅くなるからって…由布子さんもいないんだったよね⁉︎ご飯、一人で平気⁉︎」

「大丈夫だから。行ってらっしゃい」

「行ってくる、愛娘よっ‼︎」



すごく幸せそうな人だ…。